就職活動や転職活動において、企業への応募基準となるのが求人票です。
その中から興味のある会社を絞り、面接などを経て本当に自分が就きたいと思う企業を選んでいく必要があります。
ここで最初に気を付けたいポイントが、
「今の会社の良い点を改めて確認する」こと。
多くの転職者は、在職中の不満ばかりに意識がいきがちです。
恵まれている条件や制度については「当たり前」と考えてしまい、転職先企業では確認しないという人が少なくないのです。
入社後に気づくのでは遅過ぎます。冷静な目で求人情報を見ていくことを忘れないでください。
それでは早速、転職後に後悔しないための基本項目をチェックしていきましょう。
賃金・給与
転職理由の上位に必ず入るのが「給料に満足していない」です。
働く目的は様々ですが、重要な項目のひとつが給与になります。
求人票の賃金項目に記載されている金額は、基本的に総支給額であり、手取りではないことを理解しておきましょう。
実際の手取りは総支給額から税金・保険料・組合費(企業により)などが差し引かれた金額になります。そのため、おおよその手取り額は総支給額の75~85%といわれています。
総支給額500万円の場合、 375万円~425万円が手取り
最近は基本給の中に「みなし残業代」が含まれていることもありますので、必ず確認して下さい。
また、基本給以外にどのような手当が付くのかも確認が必要です。
特に見るべきポイントは通勤手当。
「通勤手当に上限があるのかどうか」も見ておくと安心です!
勤務場所と転勤の有無
毎日通勤することになりますので、勤務地も重要です。
首都圏なら通勤1時間半程度を目安にすることをおすすめします。
本人が「大丈夫」と判断しても、採用側としては「実際に通えるのか?」と不安があり、企業の交通費負担のうえでも不利になりがちです。
また、勤務場所は原則、求人票に書かれている場所が最初の勤務地となります。
求人票で「転勤有り」とされている場合は、その会社のホームページなどを確認して、どのような場所に転勤となる可能性があるのかを確認しておきましょう。
勤務時間・休日
転職先の情報を正確に把握するため、勤務時間と休日についても知識を得ておきましょう。
勤務時間は、始業時間と終業時間を確認すれば基本問題はないですが、最近ではフレックスタイムを導入している企業が増えてきています。
フレックスタイムとは、始業時間と就業時間を自由に選べる制度です。ただし、いつでも好きな時間に働けるという意味ではありません。
企業によって設けられる“コアタイム”が存在します。
コアタイムとは、「必ず勤務しなければならない時間帯」です。
例えばコアタイムが11時〜16時であれば、この時間帯は必ず勤務する必要があります。
休日
休日については「週休2日制」と表現されている場合と、「完全週休2日制」と書かれている場合があります。この2つの違いは以下の通りです。
・週休2日制:1ヶ月の中で、最低1週は2日間の休日がある ・完全週休2日制:毎週必ず2日の休日がある
また、「土日休み」と明記されていない場合は、必ずしも土日が休日とは限りませんので、その点もご注意ください。
祝日が休みかどうかや、夏季休暇や年末年始休暇があるかどうかは会社次第ですので、この点も求人票での確認が必要です。
年間休日の平均
令和4年度の厚生労働省の調査によると、令和3年の1年間の年間休日総数は1企業平均は 107.0 日です。
1企業平均の内訳をみますと以下の通りです。
「1,000 人以上の規模の企業」で115.5 日 「300~999人の規模の企業」で114.1日 「100~299人の規模の企業」で109.2日 「30~99人の規模の企業」で105.3日
企業規模が大きいほど年間休日も増えています。業界によっても幅はありますが、年間休日の多さを判断する基準にするといいでしょう。
ちなみにですが、「年間休日120日」は、週に2回の休みと、「国民の祝日」が休日として定められている場合がほとんどになります。
各種社会保険
雇用される側にとって必ずチェックしておきたいのが保険関連。
従業員を雇用する場合に義務付けられている保険は「雇用保険」「労災保険」の2点になります。
求人情報に『各種社会保険完備』と記載される場合は、上記の2点の保険に加え「健康保険」「厚生年金保険」の4種を示しているケースがほとんどです。
具体的な保険の中身は下記になります。
雇用保険
失業された方や教育訓練を受けられる方に対して、再就職先が見つかるまでの一定期間、失業給付金を受け取るための保険です。
給付金を受けとるためには条件があり、基本的に会社都合による失業では6ヶ月間以上、自己都合による失業の場合では12ヶ月間以上雇用保険に入っていることが条件となります。
労災保険
仕事中や通勤途中にケガや病気をした際に、治療費や治療中の賃金を保障する保険です。
他の3種の保険は一定の割合を従業員の給与から控除されるのに対し、労災保険は全額企業の負担となるのが特徴です。
健康保険
仕事以外でケガや病気をした時に、治療費の補填をしてくれる保険です。
加入することでもらえる「健康保険被保険者証」があれば、医療費の自己負担は1〜3割で済むようになっています。
本人以外に、扶養している家族も一緒に加入できることが他の保険と違う点です。
厚生年金保険
労働者と雇用主が折半で年金保険料を負担することによって、国民年金に上乗せされる形で老齢年金が支給される保険です。
障害を負うことがあった際に障害年金を、死亡の際に遺族年金が支給されるという仕組みもあります。
募集意図を読み取る
求人募集には、獲得したい人材が色々なキーワードで反映されています。
欲しい人材を直接記載できない理由は、年齢や性別で選考基準に差を設けたり、家庭構成や生活環境を応募条件に設定したりすると、ルール違反となるからです。
しかし、求人内容を確認することで、女性を採用したいのか、男性を採用したいのかなど、ある程度想定できる場合があります。
例えば、男女比は半々の職場だとアピールされていても、仕事内容に「運搬作業」などのいわゆる力仕事が記載されている場合は、男性の人材を求めている可能性があるということです。
求人票から得られる企業側の意図を読み取ることで、ミスマッチの防止にもつながるため、意識しておきたいポイントです。